アルコールや薬物、ギャンブル、買い物、スマホなど、依存症の対象はさまざまですが、ゲームに依存した状態がゲーム依存症であり、WHO(世界保健機関)が精神疾患の一つとして認定しました。
病名は「ゲーム障害」。
ゲーム依存症とも言い換えることができ、インターネットを使ったゲームであればネット依存症とも言えます。
現代のゲーム人口は非常に多いですが、依存症かどうかを見分けるポイントがいくつかあります。
- 本人や周囲の人の心身の健康に支障が出ていないか
- 社会に迷惑をかけていないか
- 自分の意思でコントロールできているか
- ゲーム機を失くした時に、「どうしても手に入れたい」という欲望が起きるか
具体的には、
・ゲームにのめり込むあまり、学校に行けなくなり、家族とのトラブルを引き起こす。
・やめようとしても自分一人ではやめられず、時間制限を守れない。
・ゲーム機やスマホなどを家族が隠しても必死に探そうとする。
こうしたケースはゲーム障害の恐れがあります。
ゲーム障害の原因で圧倒的に多いのがオンラインゲームだと言われています。
ネット上で何人かとチームを組んで他のチームと戦う仕組みになっており、ゲーム時間などを自分でコントロールしにくくなっています。
チャット機能や、獲得ポイントが何倍にもなる時間や期間の設定など、いつまでも終わらせないように誘い込む仕掛けもオンラインゲームの特徴です。
スマホでもできるため、場所も時間も問わず、ゲーム漬けになってしまうのです。
現代はネットが普及しているため、ゲーム障害のリスクも高まっていると言えますが、中でも発達障害の一部の人はゲームやギャンブルなどに非常にハマりやすいことがわかってきました。
発達障害の中でもADHDの特性が目立つ人は脳の構造上の特徴として、脳内報酬系の活性が低い傾向があることが指摘されています。
人は、脳内報酬系が刺激されることによって、やる気や快感が生じ、集中力を持続することが可能となるのですが、ADHDの人は脳内報酬系の活性が低い傾向にあるので、刺激が少ないとやる気や快感をなかなか得られず、不注意からさまざまなミスを繰り返します。
そのため、無意識のうちに、行動し続けること(多動)や何かに依存することで脳内報酬系の活性を高めようとしていると考えられます。
一方で、発達障害の特性の中には、過集中という、興味のあることに対しては過剰なまでに集中力を発揮してしまう症状もあり、これもまたゲーム障害など依存症の原因となりがちです。
勉強などに集中力を発揮すれば成績が上がりますし、一見よいことのように思えますが、体のSOSサインに気づくことができずに虚脱状態に陥ったり、不健康な状態になってしまったりすることがありますので、注意が必要です。
集中する対象がゲームの場合も同様で、健康を害するまでのめり込んだり、昼夜逆転してしまったりすることもあります。
昼夜逆転すると、睡眠障害を起こしたり、朝起きて学校に行けなくなったりすることもあり、それがきっかけで不登校や引きこもりになることがあります。
たかがゲーム、とか、みんなやっているから、などと安易に考えず、どれくらいゲームに時間を費やしているのかチェックしたり、どんなゲームをしているのか尋ねてみたりしたほうがいいかもしれません。